FC2ブログ

始発駅

「イチコの選択」では大変お世話になりました。無事連載を終えた今、このブログで何ができるのかを考えています。のんびりお付き合い頂ければ幸いです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

記憶の引き出し(4)

 宮下の拘留は、イチコの予想を遥かに超えた、今までにない長いものだった。間で再拘留の手続きをとられたのであろう。
 保釈されて出てきた宮下は、そのせいかすこぶる機嫌が悪かった。
 イチコの元に帰って来た宮下は、いきなり、
 「あのババア」
 と悪態をついた。
 「ババアが俺を売ったんや。あの調書さえなかったら出て来れるんやったんや。あいつら、夫婦で俺を売るんや」
 ババアとは言わずと知れた不二子さんのことである。
 またか、とイチコは思った。何年か前の食い違いが思い起こされた。しかし、イチコには事情が今一つ呑み込めない。
 ママがまさか売るわけないだろう、と思っている。イチコはあれだけの被害を被っていながら、未だ愚痴ひとつこぼさずにいるのだ。その亭主の宮下を売るなど、人でなしのすることである。
 だいいち、売るようなどんな理由あるというのか、見当も付かなかった。
 イチコの不審な顔を咎めるかのように、宮下は付け加えて言った。
 「俺は取り調べの刑事に言われたんや。あんた、宮さん、これがある限りどないもなりまへんで、言うて」
 聞いているイチコも不愉快になった。身元引受人のことも、宮下の後ろで見え隠れする女のことも、一気にどこかへ吹っ飛んでいた。
 金庫から盗まれた現金も戻って来るわけがないのだから、これではイチコの家庭は踏んだり蹴ったりだった。



クリック  ご訪問感謝します
 ↓
FC2 Blog Ranking 
ブログランキング・にほんブログ村へ
 
 
 
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 
神瀬一晃さまへ

 いろんな経験をして頂きたいと思います。イチコのようなバカは頂けませんが。
 例えば恋の駆け引きとか(笑) 愛にも駆け引きがあったりして(笑)
 生の経験はこれから書きたいと思っていらっしゃる作品に必ず息吹を与えてくれます。
 会話ひとつとっても、絵空事ではなくなるはずです。
 恐れず果敢に行きましょう(笑)

紗羅の木 | URL | 2007年08月18日(Sat)00:14 [EDIT]

 不二子さんが段々嫌いになってきた神瀬ですw
 イチコが腹を立てた理由、なんとなく分かりますけど。
 うーん。奥が深すぎて、私には少し難しいかもしれませんねw
 でも、また読みに来ますよっw

神瀬一晃 | URL | 2007年08月17日(Fri)15:26 [EDIT]

こんにちは。

ご訪問、コメント、ありがとうございます。
今は忙しくなかなか更新が進まなくなっております。
未熟な文章ですが、また読んでやってください。
またこちらも覗かせていただきます。

風 | URL | 2007年07月19日(Thu)15:14 [EDIT]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。