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始発駅

「イチコの選択」では大変お世話になりました。無事連載を終えた今、このブログで何ができるのかを考えています。のんびりお付き合い頂ければ幸いです。

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バブルと新法(3)

組織に入って間もなく、宮下はイチコに街金をやりたいと言い出した。ついてはその資金として一千万ほど融通してくれるようイチコの親に頼めないかと言う。
 「金利はつけさせてもらう」
 と宮下は話を区切った。
 イチコは、返事の仕様がなかった。
 籍も入ってなければ、親への挨拶もまだ済ませてなかった。そんなことを頼めるわけなかった。イチコはちょうど長男を宿していることを親に打ち明けて、猛反対を食らっていた時期だったのである。
 勝手に家を出て好き勝手をしているわけだから、親が怒るのは当然といえば当然だった。その分、宮下が男としての実績を上げるまでは何があっても頼めないとイチコは思っていた。それ見ろ、と言われたくもなかった。
 黙っているイチコに、宮下が再びことばを掛けて来ることはなかった。その数日後には、親分さんのところで資金を調達してきている宮下だった。
 高金利の借金を宮下はよく踏ん張ってきれいに完済した。最後の何回分かは金利も含めて一括払いをしたとイチコは記憶している。
 きっちり礼を正した宮下に、イチコはやくざ世界の仁義を初めて垣間見た気がした。時代がよかったとはいえ表社会の普通人ならば、高金利な分だけに早く払う分の金利は負けてくれと言う者だっていてもおかしくなかった。
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コメント


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 イチコと宮下の会話に、本当にリアリティがあるなーと思いました。
 宮下の一言にも、イチコが思っていたような凄みが伝わってきます。
 それを読者に、文章で伝えられる沙羅さんの実力も凄いなー。

神瀬一晃 | URL | 2007年07月26日(Thu)20:46 [EDIT]

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